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2010/12/08

セミナー「生物多様性とビジネス」

こんにちは、まつかわです。
ご報告が遅くなってごめんなさい。
11月26日(金)の中之島哲学コレージュ、セミナー「生物多様性とビジネス」には30名ほどの方が参加されました。はじめて来場されるかたも半数ほど。
前半は、ゲストの中尾友一さん(株式会社アミタ持続可能経済研究所)に、林業の実践例とともに生物多様性とビジネスの関係についてお話いただきました。後半は、会場のみなさんも交えて意見交換。
  • 「生物多様性を守ろう」という主張から出発するのではなく、生物多様性は誰の何のためなのか考えてみる。
  • 生物多様性を自分とは関係ないところで議論されている問題としてではなく、自分自身にとってどんな問題か自分で考えてみる。
そんな機会になればと思って企画&進行を務めさせていただきましたが、参加された方はいかがだったでしょうか?
「林業についてこのような総括的な話を聞く機会はほとんどないので、大変参考になりました」
「多様性と産業は対立するものという先入観を修正する機会を与えられ、感謝しています」
「手入れされた森は美しい。その美は人類の生得的なものか?と考えてしまいました」
「「林業産業者」からの視点だけでなく、さらに生産者/消費者を包括するビジネスとして成立するモデルがあるかどうか、ききたかった。」

私が中尾さんに生物多様性のお話をきくのは、打ち合わせも含めてこれが4回目。
にもかかわらず、会場からのご感想・ご意見をきいて、また新たな問いがたくさんでてきました。

たとえば、「合自然的な」林業の成功事例について、「生物多様性を守ろうとしてではなく、持続可能な生産をしようとしたら、結果的に生物多様性が高まった」というお話。
「それじゃあ、林業に携わっている人が、自分たちの利益追求のために持続可能なやり方でやってれば、自然と森はいい状態(かならずしも人の手が入っていないことではない)にむかうのでは?」と思ったのですが・・・会場からは、
「きれいな森にはお金とかビジネスには変えられない価値がある」
「道路の整備やそのための環境税の導入など公的支援も必要」
などなどの意見。なるほどと思いつつ、
生物多様性を維持する(あるいは高める)ために、利益追求以外の倫理的メッセージは必要?
ビジネスって何? 一体、誰がどんな立場で関わりうるの?
環境税、誰がどのくらい負担するの?(所得に応じて?水道代に組み込む?)
と考え込んでしまいました。

残念ながら今回はそれらの問いについてじっくり考える時間はありませんでしたが、次回はぜひ、「じゃあ、あなたはきれいな森のために何をしますか?」「環境税、いくらなら払ってもいいと思う?」ってきいてみたいです。また、ビジネス街でこのテーマはどうなの?と心配しましたが、街のなかで環境について話し合う意義も感じることができました。自然に触れながら環境について話し合うのも楽しそうだけど、私にとっては、非日常な森のなかでより日常的な駅で話し合うほうが、自分自身の暮らしと今回の問題がどう関わるかという視点を離れずにすむという利点もあるようです。