ページ

2012/04/20

哲学カフェ「公立校と私立校の違いとは?」、進行役の感想

4月からカフェフィロに加わることになった三浦です。
名古屋からもイベントの告知や報告をばんばん出せるよう、がんばっていきたいと思いますので、
みなさんよろしくお願いいたします。


こすがさんが参加者の感想をピックアップしてくださったので、進行役の感想を少しばかり記して
おきます。

「公立校と私立校の違いとは?」という私としては単純な問いのつもりだったのですが、さまざま
な要素が絡んできて、個々の参加者の発言から議論の筋を見いだしていくのが今回は非常にむずか
しかったです。

たとえば同じ公立でも、中学までと高校からとでは、入試を経ている以上、全然違いますよね。
後者の場合であれば、進学校だとある程度同じ学力層の生徒が集まっていることもあり、そこでは
「公立校の私立校化」とでも言うものが起きていますし、また両者の差異については、公立高と私
立高を両方経験した人はあまりいない以上、なかなか語りだせないわけです。

そこで、僕としては後半から「中学までに限定したうえで両者の比較をする」という方針で臨んだ
のですが、ここでもたとえば「小学校から私立」という同じ立場の人がいたとしても、一方では
「親の職業がさまざまでバラエティーに富んだ生徒が集まっていた」と発言される方もおられれ
ば、他方では「同じような生徒ばかりが集まっていて息苦しかった」とおっしゃる人もいて、やは
り両者の発言から共通の要素を見つけていくのが非常にむずかしかったです。
その合間には、「宗教や経営、競争という要素が入ってくるのが私立で、そうでないのが公立」
「公立はその地域と密接に関わりをもつが、私立はそうではない」といった、掘り下げてみたい論
点も断片的には出てきたのですが、そこから焦点を絞って進行していくことができなかったです。

というのも、普段であれば、「その話はいまの議論とはあまり関係ありませんね」と発言を遮って
でも話の筋を大事にしたりもするのですが、今回は個々の発言者の方が自分自身が受けてきた教育
を振り返りながら発言されていることもあって、いつも以上に言葉に重みがあり、つい「聴く」こ
とを優先する進行になっていたからだと思います。
だからでしょうか、後半ではとくに「意を決して」という感じで話をされる方が多かったように感
じました。そしてその発言を参加者がみな聞き入っているという雰囲気で、議論という点では失敗
でも発言の共有という点ではまあ良かったのかな、という気もします。(ただ、後者で満足してし
まっては、進行役としてはいけないのでしょうが。)

最後にある参加者の方が言われた、「ここに集まっている人はよい教育を受けてきた人たちであっ
て、その言葉は8割方の教育下位層の人たちには届かないのではないか」という言葉がずしりと突
き刺さる状態で終わりました。

東京でも長いこと「学校と教育」を考える哲学カフェが開催されていますが、中之島哲学コレージ
ュでもしばらく続けていきたいと思っていますので、関心がおありの方はいつでもお越し下さい。