日時:2016(H28)年8月20日15時~21日13時 場所:ココルーム
共催:武庫之荘哲学カフェ運営委員会 カフェフィロ 協力:ココルーム
初めての合宿は延べ17名にご参加いただきました。ありがとうございました。特に遠方からお越しいただいた皆様、楽しんでいただけましたでしょうか。
ご協力いただいたココルームの上田暇奈代さん、遠藤さんはじめスタッフの皆様、ありがとうございました。
◆釜ヶ崎の街歩き
初日、まず「釜ヶ崎の街歩き」 は、あしゅらさんに案内してもらいます。
東京の山谷、横浜の寿町と並んで労働者の街として現代の縮図のような街。大正時代にさかのぼる釜ヶ崎の発生から第一次暴動(1961年)を経て歴史の波をかぶり続けたこの街歩きます。
2008年を最後に暴動は起きていません。高齢化した労働者たちのこの街を終の棲家としている様子が、今の日本を象徴しているようです。
◆1回目の哲学カフェは、「この街」がテーマ。 進行:赤井
街にエネルギーを吸い取られたと言う意見があります。言葉にしようとすると言葉にならないもどかしさを感じながら、人が住むとはどういうことなのか、に向かって対話が進みます。
貧困と自由、楽しさと差別、など普段あまり考えないような言葉を対にして考えていました。身体と物質の境目、普通の街との境目などにも話が及びます。
ようやく暮れた夏の陽にほっとしながら、BBQ
◆シネマ哲学カフェ 進行:山本(カフェフィロ)
続いてシネマ哲学カフェ「KAMAO!PERA」2016日本75分 を上映します。幅35m縦1.4mの遮光カーテン製スクリーンを設置。150インチの大画面にフルハイビジョンで上映しました。
プロデューサーは上田暇奈代さん(ココルーム代表、戦う詩人)
哲学カフェが始まります。予定を大幅に超過し12時を過ぎてしまいました。
面白いとはどういう事か。面白くないのはいけないことか。釜ヶ崎で表現するとはどういうことか。表現しない人はどういう存在なのか。仕事をするとはどういう事か。日々を送るとはどういう事か。仲間とは何か。掘れば掘るほど奥行きのある問いが浮かんできます。
参加者の皆さんの刺激的なご発言にどんどん開かれていく地平があるようでした。あぁ、その問題も考えたい!それも突っ込みたい!刺激に満ちた時間でした。
◆ 2日目
翌朝、すっきりと晴れた釜ヶ崎の空
ココルームの庭から見上げる空は南国の空
◆朗読からはじまる 朗読:西村在子 進行:赤井
「朗読からはじまる」は 井上荒野著「ある古本屋の妻の話」(100万分の1回のねこ収録) を朗読家の西村在子さんに読んでいただきました。
3回目の哲学カフェは朗読を聴いて行う「朗読からはじまる」です。驚くほど幅広く、深く話が広がっていきました。
短編とはどこで終われば成立するのか。 どこで切ってもいいのかもしれない。 賭ける、とはどういう事か。消極的な賭けとは何か。古本とは何か。埋めると捨てるの違いは何か。 考えるのをやめるとはどういう事か。 被害者である自分に安住する?など・・・
◆さて、最後は「哲学カフェプラス」
二人ペアになってこの二日間を振り返ります。一人が他の一人にインタビューして取材します。それを素材に詩を作ります。
これは上田暇奈代さんの「詩の学校」(月一回 会場:應典院) で行っている詩作の方法です。
ペアになってインタビューします。にぎやかな時間です。
◆「哲学カフェプラス」で作った詩から
「深みを増す」 あつみさんの話を聞いて 広瀬崇光
問いという言葉には、どこかしらの受けが感じられる。
しかしあなたが口にした場合、相手に対する興味、自分にない世界へでようとするような歩みを 感じる。
何もしない人
急な前進でつまづき、倒れた人
人生において私はそういう人たちを見てきたが、あなたはどちらとも違う。
あなたは進むだろう。
そして広がるだろう。
ゆっくりではあるけれど。
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「金属の動」 暑さ嫌いさんの話を聞いて タイシ
気怠い生活の中の、錆びた眼のその奥に
白く輝くカギがある
錆の下には白がある
金属疲労を起こし、割れそうになった瞼の奥
かぎにワイヤーをかけたなら
白いまぶたになるだろうか
私は布団を被って眠る
まぶたを閉じて その夜に
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「古本屋の妻」 タイシさんの話を聞いて 暑さ嫌い
満足していない家庭と対峙した
住んでいて楽しいとかじゃなく
平坦で変わり種のない家庭
水面下にあるのは不満
時には家庭の犠牲にもなる
ただ不機嫌の受け入れ方が
家庭のカタチとして現れる
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「このまま生きていくのか?」 紙本さんの話を聞いて 野尻茂樹
のぼる日を見て起き、落ちる日をながめて明日を想う。今日と明日は違うのに、あなたは何も変
えようとしない。
与えられている何かはあなたを満たし、かけている何かはいらだたせる。
生と死はいつも目の前をよぎる
何故、気づかなかったのか。何故、自分は考えなかったのか。
考えたつもりの一瞬は土の中に埋まって息をひそめている
あなたを見つめる生死は、あなたを問いつづけているのだ。
「生きているのか?」
問いつづけている声が、聞こえるか?
◆p-Tripは、終わりました。
街歩きは暑かったし、段取りがうまくいかない処も多々ありました。反省すべき点も多くありますが、皆様のおかげで楽しい時間を過ごさせていただきました。
こんな哲学カフェもあるのだな、と思っていいただけたら幸いです。
この後、カフェフィロ主催「対話劇を作るワークショップ」を行いました。引き続きご参加いただいた8名の方、ありがとうございました。
新たな出会いに感謝して、思うところへ進んでいこう。
2016(H28)年8月23日 赤井 郁夫