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2013/05/14

報告:書評カフェ『100万回生きたねこ』

三浦です。
相変わらず報告するのが遅いわけですが、4月13日(土)にCats Galleryで行なった書評カフェの報告をします。佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』を取り上げました。

最初に私が本文を朗読し、つづいて自由に疑問点や意見を言ってもらうというやり方で進めました。何回か言い間違えてしまうなど、絵を見せながら本文を朗読するのはなかなかむずかしかったです。

ねこは、「飼い主がきらい→だいきらい→自分がすき→自分より白ねこ、子ねこがすき」というふうに好き嫌いの感情を移していくのですが、この展開に対しては、「ひとは自我が芽生えだす幼児の頃にまず親や家族が嫌いになり、それが反抗期になると大嫌いとなって、自我の確立をへて今度は自分のことが好きになり、そして家族をもつと、自分より家族のほうが好きになる」ということからも、「この物語は、一人の人生の寓話を描いているのではないか」という意見が出たり、あるいは、「ねこはお金持ちに飼われたり、いろんな場所に行けたり、拍手喝采を浴びるなど、さまざまな経験をしてきたが、だからといって幸せなわけではなかった。それが愛する対象を得ることで幸せになったのであり、ゆえにこの物語は『なにが幸せなのか?』を問うている物語なのではないか」という考えが出たりもしました。
また、「生き返らなくなったねこに対して、読者が『よかったね』と思えるのはなぜか」という問いに対しては、「愛する喜びをねこが知ったから」という意見が出て、そこから、「生の意味は、愛される、自分を愛するでもなく、他人を愛するという点にあるのだろう」という考えを得たり、さらに「生は長さではなく、重さが大切」ということを確認したりもしました。

途中、気が付くと二匹の猫たちが受付のレジカウンターから私たちをじーっと見ていたりして、猫に対話を覗かれているような、そんな奇妙な感覚にとらわれたりもしておもしろかったです。

次回は、6月29日(土)を予定しています。



             前回とは逆に猫側からこちらを撮ってみました。