ページ

2015/08/06

NSDセミナー「役に立たないものにも価値はあるのか?」

こんにちは、まつかわです。
お待たせしました。
先月7月25日から26日にかけて、東京で開催したNSDセミナーのご報告です。

1日目の午前中。
ネオ・ソクラティックダイアローグ(NSD)について簡単に説明させていただいたあと、みんなで考える問いを考えます。
たくさんあがった問いのから、選ばれたのは「役に立たなければ価値はないのか?」。
これに決まりかけましたが、「ない」という否定形で終わる問いでいいのかどうかという疑問がわき、再度みんなで本当に考えたいことは何かを話し合うことに。
その結果、みんなで問いを「役に立たないものにも価値はあるか?」とつくりなおし、


つぎに、この問いに関する例(私の体験)をあげていきます。
個人情報が含まれるので詳しくは書けませんが、資格やバンド活動、ラーメン店行脚などの経験から、卒業アルバム、間違って購入したソフト、おへそなど、14もの例があがりました。
しかし、なかには、「それって結局、役に立ったってことじゃないの?」といったツッコミが入るものも。
本人が「役に立たないけれど価値がある」と思っても、他のある人にとっては「それは役に立ってると思う」というものがたくさんあることが判明。
全員が「役に立たないけれど、価値はある」と認めるごく少数の例から、さらに、全員が関心をもてるか、質問など吟味にたえられるか、なども考慮して、野球などチケットの半券の例が選ばれました。

その後1日目の後半から2日目にかけて、半券の例について、まるでショートムービーの脚本をつくるように楽しく記述したり、記述した文章から何がポイントか議論を重ねながら吟味を重ね、でてきた答えがこちら。



答えだけみると、とてもシンプルです。
シンプルすぎて、NSDを体験したことのない人のなかには、「2日間もかけて、この答え?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、このシンプルな答えにたどり着くのが、どんなに大変なことか、体験したことがある方ならわかるでしょう。
実際、NSDセミナーで、全員で答えまでたどり着いたのは何年ぶりかというぐらい久しぶりのことです。

※全員で答えにたどり着けるかどうかの大きなポイントは、おそらく、例のシンプルさです。答えまでたどりつけなかった回の参加者が、劣ったりサボったりしていたわけでは決してありません。

※※今回、「思う」と「確信する」に絞りきれず、両方の表現を残しました。ここまで絞り込むまでに、「認める」、「考える」、「実感する」など、他にもたくさんの候補がありました。他の言葉も適当に選ばれたのではなく、そうした細かい吟味を重ねた結果、選ばれたものです。

もちろん、他の回と同じく、途中で「全員が合意できる答えがたどりつけるだろうか」と不安になる場面もなかったわけではありません。
そんななかでも、全員が率直に、妥協せず、かつ柔軟に対話を重ねることができるか。
そのためにはどうしたらよいか。
みなさん、互いに、そして自分自身を信じて、対話を重ねてくださった成果です。

今回のセミナーの目的は、そのプロセスを体験していただくことであり、最終的な答えはおまけのようなものです。
答えが出ればいいってものじゃありません。
でもやっぱり、こうして全員で答えを出せると、進行役としてほっとするのも事実。

参加してくださった9名のみなさん、おつかれさま。
そして、全員で答えにたどり着くという貴重な場面に立ち会わせてくださって、本当にありがとうございました。


ただいま、8月29日(土)、30日(日)に東京で開催する哲学ファシリテーターセミナー「質問力を鍛える?!」の追加募集をしております。
両日とも若干名の募集になります。
ご関心のあるかたは、こちらのページをご覧ください。